2007年8月11日
大垣に住む友人が言った。三重県の桑名と岐阜県の大垣を結ぶ養老線が近鉄でいられるのは今夏が最後だ、乗るなら今のうちだ。そうだ、彼は前にも養老線は面白い路線だと話していたな、どんなものか乗ってみようじゃないか、ということで大学の講義が全て終わり、金沢へ戻る途中に試乗してみることにした。
養老線は三重県北部、三重県北部といえば元近鉄、現三岐鉄道北勢線や三岐鉄道三岐線もある。これらも一緒に回り、三重県北部の私鉄の枝線を走破しようと二人で話し合った。
名古屋の夏は暑い。名古屋だけでなく、東海地方は山にでも行かない限り暑い。北陸出身の筆者の身には厳しいものがあるが、ここは若さでカバーしよう。
8月11日の朝、土日や休日のみ運行の快速みえ52号で桑名に向かう。名古屋発は朝8時ちょっと前、朝日がすがすがしい。
ホームには臨時のひだが入線していた
快速みえ52号となるキハ75の2連が入ってくる
ひだと並ぶ
木曽三川を渡り、直角に近い大カーブを走り抜けると桑名。ここで友人と合流し、まずは北勢線に乗る。北勢線は西桑名駅発着。桑名駅ではないが、桑名駅から見える位置にあり、改札口間は徒歩3分。そのうち桑名駅前まで延伸する予定があるとか。
自動改札機を入れるなど新しくなった駅に入る。西桑名駅は棒線駅で、入れ違い発車はできない。隣の馬道駅で交換することになる。
塗装し直しでぴかぴかの黄色になった北勢線の電車
車高は低い。身長170cm強の筆者の目線から。
9時半ごろ、定刻に発車。モーターはうなるが、直線でもなかなかスピードが出ない。JRと近鉄を跨ぐまでの直線をワンワンうなりながら走る。300mほど走ると上り勾配と右への急カーブ、狭軌と標準軌の線路を越える。
日本のレールファンの感覚としては、1024mmが標準軌で1675mmが広軌なのだが。3種類のゲージがそろうのは日本ではここ桑名ぐらいだろう。
三重県の2つの幹線から離れ、住宅地に中に入れば馬道。ここで対向の電車が待っていた。起点から一つ目の駅でだ。運行本数が三岐鉄道に転換してから増えた証拠だ。
駅敷地もミニサイズ
15km/h制限とは自転車並み
これから先の駅でも、ポイントはスプリングポイント。そのため対向の電車が止まったらすぐに信号が青になり、出発できる。ただし、通過制限速度はきつくなる。ここ馬道のポイントはなんと15km/h制限。他の駅でも25km/h制限と、自転車並でなんとも楽しい。
2駅進んで高速道路の直下にある蓮花寺駅。ここではこっちが向こうを待つ。やはり列車本数は多い。少なくとも毎時間2本は確保されていて、多いときはその倍になる。近鉄時代の2倍ぐらいだろうか。
高架橋の下の駅は珍しい
向こうから電車が来る ゆらゆら揺れながら走っているのがはっきり分かった
しばしば急カーブが現れる。たいがい障害物を避けるためではなく、橋を川に直角にするため。建設当時は橋をなるべく短くしたかったのでこうなった。無論スピードアップの妨げとなる。
三岐鉄道はこれらの急カーブをなくして、その他線路の改良を行って最高速度75km/h運転をする構想があるいという。今は最高45km/hで、信号機は黄色で足りる。いつの日か青が灯るのだろうか?
橋を最短にするためのカーブ
渡った先にも急カーブ
転換後の駅の統廃合で新しく作られた駅、東員で反対電車と行き違い、また何駅かで楚原に着く。楚原からはスタフ閉塞で、タブレットを携行する。また、楚原では半分の電車が折り返す。
楚原まではだいたい住宅地の中を走る
東員にて 三岐鉄道の駅ではよく駅の先がカーブしていて、向こうの電車がぬっと出てくる
楚原から先への通行手形、タブレット
楚原から先は人家が少なくなり、林の中を走る。客は我々の他、ほとんどいない。終点阿下喜の一駅手前、木々に囲まれた麻生田駅でバスに乗り換え。どうやらその駅からすぐ先で鉄橋の修理があるかららしい。確かに、ちょっと先の線路の周りで重機が作業していた。北勢線では鉄橋をはじめとして施設の老朽化が問題になっていて、あちらこちら修理して回っているのだとか。
ちなみに、代行バスはマイクロバスで、客は我々を含めて4人だった。
終点阿下喜の到着。
2年前来た時は工事中で、複線の駅に生まれ変わろうとしていた。てっきり完成しているものだと思っていたら、駅舎がまだだった。以前は2時間電車が来なくなることもあったこの駅が賑わうことを期待したい。
楚原から先は林の中を走る
自動改札機からホームをのぞく そのうちたくさんの人で賑わうのだろうか
旧ホーム
2年前来た時の写真を見れば分かる
「三重交通」の下の砂利を盛った所が車止めだった
駅舎 まだ駅前広場が未整備
もう少し離れた所から 駅全体が西桑名寄りになったようだ
ここから三岐鉄道三岐線の伊勢治田駅まで歩く。員弁川を挟んで2km先。すぐだ。
続く
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