第3曲 魔女達とさくたろうのワルツ



原曲 : 「うみねこのなく頃に」 より 「くるり」 「さくたろうの頑張り物語」 「happiness of marionette」
作曲 : dai
アレンジ : chiquchoo
  

楽譜音源


 前2曲から打って変わって、思い切り魔女側に寄せた楽曲です。もう少し厳密に示すなら六軒島事件に直接関わる魔女陣営を描いているのでベルンやラムダは入っていませんが。真里亞を除く (と言っていいのか現時点では不明だが) マリアージュ・ソルシエールのメンバーを中心に据えた曲です。
 元々は結構気軽に作った曲ですが、“魔女の幻想”が編入され組曲になったことでこの曲にも結構な意味がのしかかってくる事となりました。魔法とは何なのか、ではなく、魔法は何を生み出したのか、と問うてみましょう。それは決して単純に答えられるものではありませんが、マリアージュ・ソルシエールとそのメンバーを生み出し、そして真里亞の明るい日々を生み出した、とは言うことができるでしょう。更に深い踏み込みは次の曲、“魔女の幻想”でなされるを待つとして、今回は魔法を、どちらかというと光の面から描きます。

 この曲の最大のポイントと言えば、やはりさくたろうの登場でしょう。それを皮切りに煉獄の七姉妹やシエスタ達も登場し、場が和む様子がありありと思い浮かびます。それを描くものとして、その部分の前後をソナタ形式でよく用いられる2主題の主調→属調/主調→主調のペアで挟んでいます。最初の部分はちょっと違和感のある転調だったのが、さくたろう登場後の最後の部分はスムーズに繋がっていますね。

 さて、うみねこの物語は、六軒島から瓶に入れて流された手紙に記されていたものということになっています。そしてその差出人が真里亞と記されている以上、真里亞の魔法観について考えることは、筆跡から筆者がベアトと疑われている上であっても意味のないことではないでしょう。では何故ああも残酷な魔法殺人が記述されていたのか。そのキーの1つになっているのこそ、創造者自身によって引き裂かれたさくたろうの落とす影ではないでしょうか。

 次の曲、“魔女の幻想”で、六軒島事件の舞台前夜が描かれます。その視点は現実と幻想。その幻想は、この曲によって逆説的に描かれた真里亞の視点によって捉えられたものであり、そして同じくこの曲によって描かれたものが黒く崩壊し、狂気を通り越して凶器とさえなった成れの果てでもあるのです。

 …と何だか暗くなってしまいましたが、しかしながらそれを描いて踏み込もうとするからこそ、この曲の描く“本来の魔法の姿”は意味を持つのです。それはこれほどまでに幸せなもの。いや、これほどまでに世界を幸せに染めるもの、と言うべきでしょうかね。


・演奏の手引き

 ストライド奏法頑張って下さいね。以上。

 …では余りにも手抜きなので補足。ストライド奏法というのは低音のベース音と高音の和音を交互に叩く伴奏です。この曲はワルツなので和音が2拍続きます。このストライド奏法については変にあれこれ言うより慣れるのが一番でしょう。

 それ以外の注意点としては、常に軽快なワルツであることを忘れない事です。スタッカートは小気味よく、かつそこだけ目立たぬように、テヌートの付いた低音も決して過度に重くしないように弾くべきでしょう。


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