名古屋港線 名古屋港駅の小貨物列車



2007年1月27日&2月22日


はじめに、名古屋港線とは?

東海道線から分岐する貨物路線。名鉄で言えば、山王駅、JRで言えば尾頭橋駅近くで東海道線から分岐する。 分岐した先は名古屋市中川区と熱田区の境界を走り、港区の名古屋港駅へと至る。全長6.2km、単線非電化。 名古屋港近辺の貨物線の中では最も古い。昭和の中ごろまでは賑わったが、今は週に3日、 レール輸送の小貨物列車が走るのみとなった。

名古屋港線のすぐ東側には名古屋市営地下鉄名港線、西側にはあおなみ線があり、 三者が仲良く港区を南北に貫いている。 なお、名古屋港線は「なごやみなとせん」と読み、名古屋港駅は「なごやこうえき」と読むと 地下鉄名港線の駅で、「なごやみなとえき」と読むと今回の撮影場所である名古屋港線の駅となる。


ある日、アルバイトのために地下鉄名港線築地口駅近くに行く。その途中、東海通を自転車で 走っているときに突如踏切が現れた。こんな大通りに踏切なんて、電車が通るたびに 渋滞してしまうだろうと思った。しかし、実際に見てみれば、そんな心配はいらなかった。 単線非電化で、しかもレールの輝きは半ば失われている。どうやら列車は ほとんど通らないらしい。雰囲気からして、おそらく貨物線だろう。

帰ってから地図で確認&ネットで調査した。名古屋港線(なごやみなとせん)というらしい。週に3日、火、木、土曜にレール輸送の 小貨物列車が走ることが分かった。次の土曜、撮りに行きたくなった。


1月27日土曜の朝、予定通り出かける。 貨物列車は土曜に来るということしか分からない。何時に来るかは未知だった。 ネット上の写真を見る限り、それほど早い時間帯や遅い時間帯ではなさそうだったので、 現地に朝9時ごろ着くよう、8時に出発した。蛇足だが、筆者が住んでいる千種区某所から 撮影地である港区の築地口駅付近まで、最短距離でも18キロ、自転車で1時間はかかる。 アルバイトのときは行くだけで疲れてしまい、帰りは1時間半もかかってしまった。

予定通り、午前9時ごろに名古屋港線の名古屋港駅に着いた。着いたとは言うが、 駅は貨物列車用のみで旅客用ホームなどは当然ない。そもそも、駅には入れない。 そのため、駅をまたいでいる陸橋の歩道からの撮影となった。よくよく見れば、 そこはネット上の写真がよく撮られているところだった。

天気は快晴、写真撮影には絶好。だが海からの風が冷たい。列車は来そうにない。 寒い中をじっと待つのは避けたかったので、しばらく列車は来ないだろうと仮定して 名古屋港に行ってみることにした。名古屋港はこの撮影地最寄の築地口駅の隣、 地下鉄の名古屋港駅の目と鼻の先だ。行って帰ってきても30分はかかるまい。




名古屋港水族館、イタリア村、南極観測船ふじなど、見所がいっぱいの名古屋港

まだ朝が早いせいか、人影はまばらだった。南極観測船ふじの巨大なスクリューには驚いた。 こういうテーマパークのようなところは1人ではなく友達と行きたいものだ。

名古屋港周辺は今ではにぎやかだが、30年前に地下鉄ができたころは港湾施設以外何もなかったと 言っても過言ではないだろう。


10時ちょっとすぎ、撮影現場に戻り列車を待つ。早く来ないかな・・・

なんと! 5分も待たないうちに、前方からヘッドライトの光が!





とうとう来やがった!目当ての貨物列車!
機関車はJR貨物更新機のDE10だ。




名古屋港駅の全景









今までの写真は機関車の真正面から取っていたので後方の貨車がわからなかった。 貨車は長物車で、交換用のレールを輸送しているらしい。





早速貨車の入れ替え作業開始。




まず2両だけを引っ張り、前進。





バックして貨車を奥の線路に押し込む。この写真は2回目の押し込みで、もうすでに奥に2両がある。





押し込みはここまで。





押し込んだら機関車は元の場所に戻り、次の貨車を押し込む準備をする





戻っている途中のDE10



次の作業で、近くまで来たところをじっくりズームしてみる。




エンジン音はそれほど大きくない。 機関車はDE10の1500番台、248号機。貨物列車用で蒸気発生装置がないタイプ。





貨車の積荷がない!? 空の貨車の返却回送?



入れ替えが終わった機関車を急いで自転車で追う。 これから戻るに違いない。どこかでまた撮らせてもらおう。




汽笛を一声鳴らして動き出す。





全速力でダッシュだ!と思ったらちょっと走って写真の道路をくぐったところで 止まった。運転手が降りて、しばらく動きそうにないように見えた。戻るのは午後か。





おまけ 得体の知れないカーブしている構造物が、地下鉄名港線の名港車庫への連絡線。 上の貨車の入れ替えを撮ったところから見える。



2月22日


前回は貨車の入れ替えを撮った。次は走行シーンも撮りたいということでまたも港区へ。




この写真が撮りたかった!運河をゆっくりと渡る小貨物列車


もっと走行シーンを狙おうとしたが、列車は意外と速く追えなかった。 まあ、あの写真が撮れただけでもいいだろう。1月と同様、貨車の入れ替えを見に行こう。





前と同じポイントからでは面白くない。今度は横から





慎重に連結。





機関車も含めてたった3両とはいえ、写真の幅いっぱいに収めるのは難しい





車止めから 今日の機関車はDE10の1500番台、46号機。前回より200番近く若いので、更新されていない。それゆえ、塗装はオリジナル。





ズームすると、小型機関車でも迫力が出る。



ここで撮っているとき、JR貨物のOBのおじさんも入れ替えの様子を見ていた。 おじさんは名古屋臨海鉄道(笠寺から分岐する臨港貨物路線)でDE10のハンドルを にぎっていたそうで、かつてはここ名古屋港線にも来たことがあるという。 当時はたくさんの貨物列車が来てにぎわっていたらしい。

また、名古屋港駅は豆炭(石炭などでできた手のひらサイズの燃料・練炭とも言う)を積み出していたも聞いた。
今は週に3日、細々と交換用レール輸送の小貨物列車が来るのみとなり、後述するように道路から南側の線路がすべてなくなったため、 当時から見れば信じられないほどさびしくなったそうな。



下に撮影スポットの地図を示す。




詳しくはMapionYahooなどの地図を見るとよい。 (Googleも悪くないが、線路が途切れていたり、ない線路が書かれていたりする)

黒は道路、紫は地下鉄名港線を示す。名港線は幹線道路江川線に沿っている。 ピンク色の矢印が列車の正面を写した写真を撮ったところ。 道路は名古屋港線をまたぐように橋になっている。歩道から撮影できる。 (なお、地図上でも分かるように名古屋港線はこの道路で切られている。 いくらか前までは港まで線路が続いていたようだ)

走行写真(運河をゆっくりと渡る小貨物列車)は名古屋港線の西側の道路に沿って しばらく北上すると、佐川急便が見えてくる。その手前の橋から東を見ると 運河の向こう側に写真に写っている名古屋港線のガーター橋が見える。 列車の運転日は、前述のように火、木、土曜で、いずれも名古屋港駅10時30分ごろ着。所により交通量が多いので、撮影には気をつけよう。