急行能登路 金沢〜輪島の旅



2000年10月22日

執筆 2006年7月17日


最後の秋となった のと鉄道穴水〜輪島と急行能登路。このとき筆者は中学2年だった。直前の夏、穴水〜輪島の廃止が決まる。チャンスは今しかないと思い、裏金を使って輪島まで行くことにした。

10月22日の朝、金沢駅へ行く。よく晴れていた。



行き止まりの4番線には朝日が差し込んでいた。すがすがしい。いい旅になりそう。



8時ちょっと前、急行能登路用のアイボリーと白の58系がゆっくり入線してくる。


8時7分、金沢を定刻に発車。独特のオルゴールが鳴ると津幡8時22分、宇ノ気8時30分、羽咋8時53分・・・と停車駅の案内がある。これを聞くとなぜか胸が高鳴る。

しかし、この旅がDenkoにとっての急行能登路の最後の旅となるとは・・・あの時は考えもしなかった・・・



急行能登路はエンジンをうならせ、七尾線を快走する。そして1時間で七尾着。ここでのと鉄道の車掌、運転手に交代。のと鉄道に入るのは次の和倉温泉から。

和倉温泉を過ぎれば架線柱がなくなり、景色はいっそう能登の味が強くなる。穏やかな七尾湾を右に見て、急行能登路はゆっくりと進む。


能登中島で珠洲発の急行能登路2号と交換し、穴水着。ここで珠洲・蛸島方向の列車へと接続。今日は乗り換えず輪島へ行く。去年はここで乗り換えた。



穴水に着いた急行能登路 かつては分岐駅としてにぎわった穴水駅 右手には駅弁屋が見えるが、確かこの駅弁屋は10月限りで店を閉じると案内があった




急行能登路の左手にみえるのが蛸島行き各駅停車




帰りに穴水駅で見かけたお座敷列車「やすらぎ」 この車両さえ、もうない。




これも帰りの撮影 穴水から輪島・蛸島方面を望む



能登の丘陵地をゆっくり進み、輪島着。



もう幻となったこの風景 この日からさらに2年前に初めて輪島に来たときの感動は決して忘れられない この写真を見るたびに、胸が熱くなる




この終点の港町の駅は、ひっそりと静まり返っていた。




およそ40年間、金沢と能登を結んできた急行能登路。このサボも行き交う人々を見つめてきただろう。




ススキが秋の深まりを告げる。なんともいえぬ哀愁がたたよう あと30分もすれば折り返し金沢へ向かうが客はいるだろうか?




ホームのすぐ先で線路は切れている この先は「シベリア」らしい




次の駅「シベリア」を示す駅名表 いつからこうなっているのだろうか?




ホームの端から穴水方向を望む レールはかろうじて光っているが、あと数ヵ月後にはさび付いてしまう


そして冬を越し、2001年3月31日に最終営業日を迎える。急行能登路の輪島発着1、4号は一足早く3月1日に廃止となった。輪島には鉄道がなくなり、そして今や穴水から蛸島もない。

能登の鉄道は穴水でブッツリと切れてしまった。能登半島が寂れていくのは時間の問題だろうが、筆者はこの美しい能登半島とそこを走ったのと鉄道を忘れることはできない。


END


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