Bagatelle:東方妖々夢



原曲 : 「東方妖々夢」 より 「東方妖々夢」
作曲 : ZUN ( 上海アリス幻樂団 )
アレンジ : ちくちゅー (chiquchoo) ( Presence∝fTVA )
  

楽譜音源


 chiquchooの新シリーズ“幻想郷の主題によるバガテル”第1弾を飾るのが、この東方妖々夢です。09winterをお持ちの方はプレビュー版でもうご存知ですね。バガテルシリーズを発案する前にできていた曲です。この曲の最大の特徴は10小節目からの右手と左手の掛け合わせです。特に43小節目からの部分は入り組み方も凄まじく、弾いている方も死にますがそれに見合った立体的な響きを出してくれます。そして、基本的に見せ場はこれだけ。それを活かすべく、その他の部分はスタッカートを活用した音造りとしていますが、やはりそれだけの見せ場で有効に楽曲を構成するもう一工夫が欲しいところなのですね。

 そしてその答えこそが35小節目からの主題回帰。原曲では52小節目以降のラストの部分に飛んでしまうこの箇所に、もう一度掛け合わせつきの主題を放り込みます。たったこれだけ、たったこれだけなのですが、これにより曲全体が恐ろしく安定し、とともにメインの部分がどこかというのが明解に提示されます。クラシック的な構成で見ると、この主題回帰により3部構成+コーダという、王道的な構成が成立するようになります。

 何度も聴いていると新しい発見がある、という部類の曲でこそありませんが、初めて聴いたり、原曲を知らずに聴いても分かりやすいアレンジに仕上がってくれました。東方のクラシックピアノアレンジ入門曲として、弾いても聴いてもちょうどいい曲では、と。


・演奏の手引き

 私の楽曲の常に違わず、最初に左右分担をきちんと決めておく必要があります。上段に書かれている音符だからといって右手で弾く必要はどこにもありませんし、逆も裏も対偶も然りです。また、常に同じ音系は同じ割り振りで弾くのか、それとも暇な方の手が担当するのかということも考えねばなりません。定まった答えはないので、一番自分の弾きやすい形を探して下さい。

 隠れたポイントとなるのが、5箇所で登場する装飾音です。それぞれ“ここしかない”という位置に入っているのがお分かりになるかと。どこも歯切れよく弾くのは易しい位置ではありませんが、ここが綺麗に決まると演奏レベルが一段階アップすると思います。


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