陽気な足踏み



原曲 : 「ヴェルディア幻奏曲」 より
作曲 : TOY ( Studio Primitive )
アレンジ : chiquchoo ( Presence∝fTVA )
  

楽譜音源


 『加藤賢二の〜』が偶然出来た曲ならば、こちらは狙ってやった曲とでもいえるでしょうか。Escu:de作品『ヴェルディア幻奏曲』よりシンシアのBGM『陽気な足踏み』を中心にしつつフィーナの『月のぬくもり』を真ん中に入れて仕上げてみました。

 いやーStudio PrimitiveのTOYさんが本当に楽しい曲を付けて下さいましたw。弾いてても本当に楽しい曲ですし、初演の際もとても楽しい曲だったという声が数多く寄せられました。加藤賢二が“面白い”(ただしfunnyではなくinteresting)曲ならば、こちらは“楽しい”曲といえます。それが聴く側にも明快に伝わるので弾いている側もより弾き甲斐がある、そんな一面もある曲です。

 前述の通りこちらは狙って作っています。最初から原曲の候補を絞らずにいて、いい曲になりそうだったのでGoサインを出して。勿論原作を全く知らない訳ではなく、この曲もシンシアとフィーナのイメージを逸脱しないようには作ってありますが、基本は原作はさておきBGMが良かったからアレンジした、という類の曲です。ただBGMは原作の影響なしに決して成り立つものではないので原作も無視しませんし、無視できません。この曲は本当にそのことを教えてくれた1曲でもあります。

 昔の私のmixi日記を覘くと書いてありますが、本当はこの作品のBGMはかなり気に入ってて、もっと大きな曲を作りたかったんですね。ですが玉砕を繰り返して封印。次のコンサートで弾くものがないとなった2008年11月、Denkoの助言もありコンパクトな動・静・動の構成で組んでみて感触が良かったのでそのまま作って完成に至っています。

 この曲でやった新しいことといったら、真ん中の“月のぬくもり”が結構原曲から離れたアレンジで、それ以降“陽気な足踏み”に戻ってきても遊びに遊んでいます。といってもベースはRPAですし、“月のぬくもり”部分も某曲に相当似てますし。ちなみに最初はここまで似ていなかったんですが、改良とともにこんなに近い形になってしまいました。話を戻すなら、同じくオリジナル部分が多い『アリスの狂気』や『てんとう虫vpa』と比べてもかなり自由にやれたかな、と。複合3部で最初の主題が何回か出てきますから後半のそれは徹底的に遊んでいますし、最後に半音階による無調とかもやりましたしね。

 なおここまで典型的な複合3部形式の楽曲は、同人ピアノアレンジではかなり珍しい形の筈です。いや実は出来上がった曲の形式が分からず、ロンド形式とかかなーと思ってネットで調べたら典型的な複合3部だったり。複合3部を知らないでクラシックアレンジやるなよ、というツッコミはなしの方向でw。


・演奏の手引き

 相変わらず、というべきでしょうか、右手は聴いた感じより忙しく飛び回る羽目になります。とはいえいつもの私の曲を弾かれている方ならば、最後の超ワイドなアルペジオ以外は然程苦になりませんよね?

 “陽気な足踏み”の部分では、とかく元気良く弾くのが重要です。ペダルを要所要所でアクセントとして使うと面白くなります。踏み過ぎると面白さがどんどん減っていきます。一方の“月のぬくもり”部分では、決して荒くならない落ち着いた演奏が必須です。この2つをしっかり対比させて…って、典型的すぎる事ばっかりですね。敢えて注意すべきことを挙げるなら、“足踏み”ですのでそんなに飛ばして弾く曲ではない、という点でしょうか。

 この曲はさり気にペダルが色々と工夫できます。音が途切れるのを防ぐ為に一瞬だけ踏んだり、開放弦の音の厚みを生かすために、ある音が鳴り始めてから踏んで、鳴り終わる前に上げてしまう、一見無駄なペダルを踏んだり、“月のぬくもり”を全体に渡ってごく軽くソフトペダルを踏んで弾いたり(←グランドピアノでしか効果が出ません)と、アイデア次第で色々やれます。ただし基本的に“陽気な足踏み”部分では踏みすぎは曲のディティールを潰してしまいます。ペダルでごまかして曲にするのではなく、最小限のペダルでも弾ける様にしておいた上で表現のために踏むとぐっと曲に味がつきます。


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