Castle Walk



原作:カタハネ(Tarte)
原曲:Castle Walk
作曲:松本慎一郎(M.U.T.S. Music Studio)
アレンジ:Len-choo(冴月レン×chiquchoo,Presence∝fTVA)


楽譜音源


 明るい曲調の、楽しい雰囲気を持った曲です。僕は原作をプレイしていないのですが、それでも十分に魅せくれる力があると思います。

 この曲のアレンジに取り掛かるまでアニメソングを中心に作品を作っていましたので、連弾というものにそれほど関心がなかったのですが、CastleWalkは、僕のその認識を見事に変えてくれました。独奏では演奏の幅に制限が出てきます。RPAベースのアニメソングなら、まだそれでもアレンジのやりようはあるのですが、この曲の中間部のような華やかな旋律を表現するには、やはり独奏では不十分です。そういう点で、連弾アレンジというのは強いなと感じました。

 先程、僕の「連弾に対する認識を変えてくれた」と書きましたが、実はこの曲はそれだけではなく、DCPAというジャンルに強く興味を持ち、自分でも作品を手掛けてみたいと思わせてくれた曲でもあるのです。アニメソングのアレンジにも、もちろん魅力はあります。ですが、DCPAにはまた別の魅力があるのです。例えば、表現の幅であるとか、構成といったものがそれです。

 ちくちゅー兄の「残酷な天使のテーゼ」が、僕のアニメソングのアレンジの原点となった曲であるとするなら、この「CastleWalk」という作品は、DCPAでの「残テ」ということがいえると思います。Len-chooアレンジ初期の作品であるということもありますが、この曲はピアノアレンジャー冴月レンにとって、非常に大きな意味を持つ曲となりました。

(冴月レン)


 カタハネをプレイして、そのBGMには終始度肝を抜かれ続けました。アレンジしたい曲は山ほどあったのですが、「私達がアレンジすることで、作品の魅力をも伝えることができる」楽曲として、この曲を連弾用にアレンジすることを思い付きました。

 レンちゃんには、BGM系のアレンジ練習用にどう?と声をかけました。彼の担当部分は原曲からの旋律の抽出のみのため、表向きの出来上がりは私が単独で作ったアレンジとそんなに変わらないように見えます。が、原音を拾う時に部分的に何度も曲を聴くことでイメージが歪んでしまう影響は結構大きく、今回レンちゃんに手伝ってもらったことでかなり楽曲が「素直」に出来上がったなぁと感じています。弾いてみると気付かれる方がいるのではないでしょうか。

 この曲はP-fTVAでのLen-chooのデビュー曲ですが、Len-chooとしてはOperationJでの「Magia(連弾)」「コネクト」に続く3作目の発表曲、未発表を含めると4作目になります。Magiaでは連弾を縦構成の多層化と音の重厚さのために用いましたが、この曲では連弾ゆえの「余裕」を上手く活かすことができたなと思っています。この曲の殆どの部分は2層、一部3層の縦構成なので、凄まじいテクニックを持つ人であれば1人で弾けなくはない部分も結構あります。が、そこに2人4本の手を充てることで余裕ができる。結果、いざとなれば3度or6度での高速パッセージや16分音符での和音の連打とかが要求できるわけです。ですが実はそのフルパワーを出す部分は盛り上がる部分だけで、メイン主題の部分では普通に常人が一人でも弾ける程度の音しか入っていません。余裕が盛り上がりの余地を作っているのですね。

 結果としてこの曲は、カタハネなんて露も知らない人の前で大手を振って弾いても、十分に通用する曲になったと思います。最近に限ったことではないですが風当たりの厳しいエロゲですが、こんな作品あるんだよーと自信を持って言えますね。

(chiquchoo)


・演奏の手引き

 プリモが人形、セコンドが調律師のイメージで作られています。この曲はプリモが走りやすいので、セコンドがきちんとリズムを管理する必要が出てきます。なのでセコンドは1歩引きつつも低音側で安定した土台を作って、それに支えられたプリモが生き生きと旋律を奏でるのが基本スタイルです。

 そして特に中間部など、お互いの呼吸がぴたりと合っていることが要求される箇所が何箇所か出てきます。ここは互いが単独でしっかりと演奏できるようにした上で、2人で十分に練習して息を合わせるしかありません。なかなか大変ですが、上手く決まると1台のピアノとは思えないような彩り豊かな音が鳴ってくれます。


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