第5曲 Requiem 〜そして六軒島へ



原曲 : 「うみねこのなく頃に」 より 「Requiem」
作曲 : dai
アレンジ : chiquchoo
  

楽譜音源


 組曲もいよいよ最後になりました。というかこの曲は、本当に“うみねこ組曲の最終曲”として
できているとつくづく思いますね。是非5曲のラストとして弾いて頂きたい曲です。

 さて、この曲の出だしはRequiemから始めることは、かなり初期から決めていました。そう、六軒島事件は“起きてしまった”のです。
 発生当初は警察の捜査にもかかわらずの謎の殺人事件であったこの事件は、メッセージボトルによって“魔女幻想殺人事件”へと変化します。これは私は、二重三重の意味で“あまりにも”なものだと思うのですね。このボトルによってこの事件の注目は、真実よりオカルト的側面からの追求が中心になってしまうのですから。結果犠牲になった者たちの、そして魔女幻想も、その本来の姿が隠され、捻じ曲げられた解釈がまかり通るようになってしまっているのです。

 あのメッセージボトルの筆者は少なくとも魔女幻想をある程度は理解する者であることは間違いないでしょう。ではもしあの文面が“六軒島事件の魔法的解釈”をそのまま綴ったものだとしたら、それは魔法が現実に耐えられず擦り切れて、過去の姿を失い本当に黒く染まってしまったことを示します。ではそうでなかったら? 考えられる仮説の1つが“ニンゲンにより行われた殺人事件の残忍さを魔女幻想が敢えて背負った”というもの。どの解釈を取るにしても“あまりにも”なのです。
 しかし事件が起こったという事実も、そして残忍な魔女の姿も変えることは叶いません。前者はそれこそ真実であるから、そして後者はメッセージボトル内の文章として“現実に記述されてしまった”が故に。残る道はただ1つ、魔女幻想の真の姿を解き明かし、真実を暴くことのみなのです。仮にそれが魔女幻想の完全なる消滅を意味しても。


・演奏の手引き

 うーん、やはりこの曲は“組曲の最終曲”として弾いて頂きたいですね(2回目)。構成的にあんまり単曲演奏には向いていませんし、この曲を弾く意義という点でも半減してしまいます。
 Requiemの部分の一番の技法的特長は、前の音の一部を残したまま次の和音を打鍵する技法でしょう。後から打鍵する音を普段通り弾くと残す音がかき消されてしまいますので、響きを聞きながら少し弱めに打ってやります。残す音を予め強打しておくのは厳禁。あくまでも“残った響き”に合わせて下さい。そして焦らないことです。複数回の打鍵で音を作るつもりで、重なっていく響きを感じながら音を加えていきましょう。

 Meno mosso e maestosoの部分の弾き方は、私からは敢えて何も言いません。言ってしまえばこの部分こそ、うみねこ出題編を読んで、考えて、自分なりに解釈して…それらの結果としての“想い”を表現する場所です。その意味をよくよく考えた上であれば、どのように弾かれても全く意義はありません。その点においてもこの曲はやはり単独でではなく、組曲の締めとして弾いて頂きたいですね(3回目w)。

 そして最後はAllegroで勢いを持って。魔女幻想とは何なのか、六件島で何が起きたのか。それらを解き明かそうという意思を、最後にぶつけて下さい。


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