命のパン



原曲 : 「うみねこのなく頃に」 より 「命のパン」
作曲 : dai
アレンジ : 新木&chiquchoo ( Presence∝fTVA )
  

楽譜音源


 かつて私がその主力にしていたアレンジ指針に、リアルピアノアレンジ(RPA)というものがあります。 読んで字のごとく原曲基調でアレンジをするというもので、原曲はいい曲なのだからその音をしっかり 正しく拾っていけばいい音が鳴らせるんじゃないかという考え方です。
 がこれをとことん突き詰めていき、ちょっとおかしな方向といえるレベルまでいったのがかつての私。 とにかく徹底的に原音を拾う。到底1人では弾き切れないことを分かっていてほぼ全ての音を拾ってきて、 演奏可能性と原曲の雰囲気を頭において最小限の修正をかける。どんな曲になるかというと、大概運指が めちゃくちゃ複雑で、恐ろしく大量の旋律線を一度に扱い、鳴ってる音と弾いてる感じが尽く一致しない アレンジが出来上がりますww。末期にはつぎ込むテクニックの殆んどが、RPAのために極めて複雑に 並んだ音をとにかく押さえるためのみに費やされる状態になり、ついに破綻しました。
 がこれが意外や意外、なかなか面白い音を鳴らしてくれるのです。ピアノって右手メロディー+左手伴奏で 演奏するよねぇという前提がぶっ飛んでる (というか意図的にぶっ飛ばしてる) のもあり、独特な音の 積み重ねによる不思議な重さ、密集感があります。なので最近になっても踏み込み度合いは自重 しながら手法としてそれなりに使っているのですが、この曲はそんなRPAを久しぶりに“全面的に” 採用してみました。悪夢よ再び、ですねww、でも原曲との組み合わせもあり、RPAとしてはかなり 大人しい出来に仕上がっています。
 さて出来上がったこの曲の音源を聴いて思うこと。まぁ読んていた通りというか、ものの見事にRPAを 楽しむ曲に出来上がってくれましたww。いや、ネット上でいくつか同曲のピアノアレンジを聴いたのですが、 いい悪いの話ではなく笑えてきます。私のアレンジはぶっちゃけ、極めて無駄に複雑。ではその複雑さが どこに費やされているかというと・・・w

・演奏の手引き

 まずはRPA独特のありえない運指に慣れることが何よりですねw。この曲はその点大人しいほうなので、 もっと過激なものが楽しみたいMな人はhopeをどうぞw。私の楽曲全てに通用するルールとして、上段に 書かれているから右手で弾く必要はありません、というかそれにこだわっていると弾けませんww。
 さてこの曲の楽譜、強弱記号もスラーもありません。全体表現に関しては辛うじて速度が記されているのみ。 なのにスタッカートとメゾスタッカートはわざわざ使い分けられています。普通のクラシック曲から見たら 何とも偏った、びっくりするような表記ですが、これこそがこのアレンジにおける、演奏時の表現における 定義です。

 そう。このアレンジを定義するのはCDの音源ではなく、この楽譜です。私はこの曲を音として現実に具現化 する時、スタッカートとメゾスタッカートに差異をつけてほしいのです。逆に強弱は完全に楽譜の読み手に 任せる、こちらでは定義しないということです。もちろんそれは何をやっても構わないという訳ではありませんが、 楽譜と楽曲をきちんと解釈した結果の表現であればどんな弾き方をしても、このアレンジの定義通り、定義の 範疇であることを意味します。

 その意味では、音符の読み落とし、読み間違いには十分注意して頂けるとありがたいところです。RPA であることからして、1音を決定するのに他の倍なんてレベルでない、尋常でない手間がかかっていたり するのですw。1音ごとに原曲を徹底的に聴きこんで、聞き取った1音とさらに原曲を比較して延々と悩む という変な作業が、その尋常でない手間の大部分なのですがねww。ただこの曲はRPAなのですから、 折角そうしてまで構成した音をそれ通りに鳴らさないのであれば、敢えてこのアレンジで“命のパン”を 弾く価値の半分以上が吹き飛んでしまうように思うのは作った私だけでしょうかねぇ。


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